美狐はベッドの上で愛をささやく


「紛い物だと? ならば新たに得た俺の力を見せてやろう」


真赭さんと迎撃態勢に入るため、倉橋さんは手にしていた大鎌をわたしの首元から外した。

同時にわたしの体は突き飛ばされ、地面に転がる。


……かと思った直後、わたしの体はあたたかい腕に包まれた。


「捕まえた」


中性的なこの声はもう知っている。



「紅さん……」

紅さんは微笑むと、わたしから手を離した。



紅さんも倉橋さんと戦う気だ。


体力が限界なのは知っている。




わたしが……傷つけたから……。



わたしのせいで……。



「やっ、だめっ、お願い行かないで! 紅さんっ!」


わたしから離れていく紅さんの背中に向けて手を伸ばす。


だけどわたしの手は空を掴み、彼には届かなかった。




「あれは俺のものだっ! 妖孤族なんぞには渡さん!!」