倉橋さんの中に潜む恐ろしいものを感じ取ったわたしは、やって来た生成さんと真赭さんに告げた。
「紗良、それはできないよ。わたしは君を助けるまでは逃げはしない」
だけど、紅さんは静かに首を振った。
でもっ!!
「紅さんが死んじゃうっ」
そう思っただけで、『死』という言葉を口から吐き出しただけで、わたしの心臓が恐怖で縮まる。
涙で視界が滲(ニジ)んだ。
「死にはしないよ。わたしは絶対的な力を持つ、妖孤一族を束ねる次期王だ。こんな紛(マガ)い物には負けない」
「そうそう紗良、紅兄は一度言い出したらきかないのよ、観念した方がいいわ」
真赭さんは大きなため息をついて、胸の前で拳をつくった。
「いやっ、やめて!!」
だめだよ、みんな死んでしまう!!
わたしの言葉は、だけどみんなには届かなかった。
真赭さんは勢いよく地面を蹴り、倉橋さんがいるこちらへと恐ろしい速さで向かってくる。



