嫉妬心で自我を失ってしまう汚いわたしなんかが、紅さんの伴侶になってはいけない。


今回はみんな命を落とさなかった。



だけど、次――。

紅さんに近づく女性が現れたら、また自我を失い、女性か紅さんのどちらかを――あるいは両方を傷つけるかもしれない。



わたしは……汚い存在……。


綺麗な紅さんには、そんなわたしは相応しくない。






『ここに残る』


そう言いたいのに、言葉は喉につまって出てくれない。


わたしは未練たらしく唇を噛みしめ、ただ俯(ウツム)く。





「あなたはどうしたいの?」


杏子さんはもう一度、同じ言葉を、だけどゆっくり、強い口調でわたしに尋ねてきた。




『どうしたい?』



そんなの決まっている。

紅さんの傍にいたい。




でも……。



やっぱり……それはいけないこと。


「わたしがいれば、紅さんが幸せじゃなくなる。だから……だから……」