だけど、好きな人を殺し、たったひとり、この世で生きることになる杏子さんの悲しみは、たぶん、孤独だと感じた倉橋さんよりもずっとずっと苦しくて、ずっとずっと悲しい。
その気持ちもわかるのは、過程はどうであれ、わたしも紅さんを傷つけたからだ。
……くれないさん。
ズキズキ、
ズキズキ。
彼のことを思うだけで、わたしの胸が張り裂けそうに痛む。
たぶん、この胸の痛みは永遠に消えることはないだろう。
だって、紅さん以上に好きになる人なんて、きっと現れないと思うもん。
「私が目覚めた以上、ここは間もなく消え去るでしょう。
ああ、これでようやく来世へと向かうことができる。あなたはどうするの?」
わたし……は――……。
杏子さんの言葉に戸惑った。
紅さんとは離れたくない。
それが本音。
でも……だけど……やっぱり紅さんはわたしと一緒にいると、幸せじゃない。



