「やめろっ!!
そんなことをすれば、杏子(キョウコ)は……杏子は消えてしまう!!」
倉橋さんは苦しそうに、胸で息をしながらそう言った。
「でも!! だけどっ!!」
このままだと、倉橋さんも紅さんも死んでしまう。
「妖孤よ、お前は逃げればいいだろう? 私は、杏子に殺されるなら本望だ」
倉橋さんは苦痛に歪(ユガ)んだ顔を向けて、彼女さんからの攻撃を防いでいる紅さんに話しかけた。
そんな……そんなの……。
たとえ紅さんが逃げて助かったとしても、倉橋さんはどうなってしまうの?
「紗良くん、頼む。このままにしてくれ!!
私は殺されてもかまわない。その鎖を切ってしまえば、杏子の魂は逝(イ)ってしまうことになるんだ。
だから……。
紗良くんの魂が杏子と溶け込む間だけの辛抱(シンボウ)なんだ。少しの時間を我慢するだけで、杏子は生き還ることができるんだ」



