紅さんはわたしに右手を差し出し、一歩。
また一歩と、おぼつかない足取りで近づいてくる。
できることなら、わたしだって、帰りたい。
紅さんの傍で笑っていたい。
だけど……。
わたしは気が付いてしまった。
自分がどれほど醜い存在なのか。
わたしを襲う霊体たちよりもずっと危険なのかを、知ってしまった。
わたしがいると、紅さんはまた傷つく。
紅さんが可哀想だ。
わたしのような汚い存在が花嫁になって……。
だから……。
だから、わたしは――……。
帰らない。
わたしは、ゆっくり、大きく――首を振った。
「あのね、紅さん。わたしね、やっと他人の役に立つことができるの。
だから、帰らない……」
素敵な紅さんには、こんなわたしよりもずっと素敵な女性が現れる。
わたしなんかが隣にいちゃいけないんだ。



