「紅兄、すごい霊気を感じたけどどうしたの? ……って、紅兄? ちょっとまって? 紗良?」
お店の方から紅さんに駆け寄ってきたのは、真赭さんだ。
「大丈夫でございますか若、紗良様!!」
「真赭……生成……」
真赭さんに続いてやって来た生成さんに、紅さんは安堵(アンド)の笑みを浮かべた。
駆けつけた真赭さんと生成さんは、状況を把握しようと、血を大量に流しながらうずくまっている紅さんと立ちすくむわたしとを交互に見る。
「紗良……アンタ……」
真赭さんの疑いの目がわたしを射抜く。
彼女は、わたしが紅さんを攻撃したことを理解したらしい。
そして紅さんは……血の気が失せ、真っ青な顔で、哀れみの瞳をわたしに向けている。
ちが……わない……。
わたしは……大切な紅さんを傷つけた。
紅さんにただ好意を持っているだけの女の人を……手にかけようとした。



