わたしは……なんという恐ろしいことをしてしまったんだろう。



なんという恐ろしいことを考えてしまったんだろう。





「紗良……霊力は、こういうふうに使ってはいけない……」


紅さんの口からも腹部と同じように血液が流れていた。


「わ……たし……は……」


むやみやたらと人様の命を奪ってはいけないのに……。


そんなことはしてはいけないのに……。






――ア~ア、オ前ガ傷ツケタンダゼ?




……そんな。



さっきまで『ソレ』は、わたしに殺せと命令したのに、今度は傷つけたわたしを責めはじめる。





――好キトカ言ッテ、結局一番可愛イイノハ自分ナンダヨナ。




ちがう。

ちがう、わたしは……。




――違ウ? ドコガダヨ。オ前ハ汚イ。





違う。




違う。

違う!!