だって、さっき理解したんだ。
紅さんと少しだけ離れただけでも、胸が苦しくなるって。
――ダッタラ、殺シテシマオウヨ、邪魔デショウ?
でも……そんなの……ダメだよ!!
強く拒絶したとたん、店内を照らすオレンジ色の光がわたしの目に飛び込んできた。
『ソレ』の声は消え失せ、代わりに談笑しあう人たちの声が耳に入ってくる。
……よかった。
何も聞こえなくなった。
心の内側から聞こえてきた声が聞こえなくなったことに、ほっとため息をつき、真赭さんと生成さんがいる方向を見た。
すると、案の定とも言うべきか、たくさんの男女に囲まれていた。
……少し、ひとりになりたい。
この苦しい感情をなくせる場所に……。
わたしはこっそりお店の扉を開けて、静かな夜の中へと足を向けた。
見上げれば、空は、真赭さんと生成さんと、ここに来た時よりも深い紺色に染まっていた。



