いくつもあるテーブルの周りを囲んで談笑している人たちの間をかいくぐり、紅さんの香りを辿っていけば、大人ふたりがどうにか並んで歩けるほどの少し細い通路があった。
ここかな……。
壁に貼っている案内プレートを見ると、『スタッフオンリー』と書いてある。
ここから先はスタッフさんしか通れないみたい。
……どうしよう。
やっぱり、入っちゃいけないよね。
紅さんが来るのを待った方が良いよね……。
そう思って足を止めた。
だけど、細い通路から女の人がつけていそうな甘い香水が香ってきた。
もしかして、ここに女の人がいるの?
そう思ったら、わたしの足は意志とは関係なく、勝手に進んでいた。
ほどなく進むと、通路は壁になっていて行き止まり。
壁から向かってすぐ右側には、スタッフルームと書いてある白いドアがあった。
「ねぇ、紅。いい加減、私のモノになってよ」



