だから紅さんがお仕事に行った後、わたしの表情は曇ってしまう。
そんなわたしなのに、真赭さんも生成さんも、ふたりとも、とても優しくしてくれる。
ご飯を作るときも手伝ってくれたり、要らない食器を片付けてくれたり、一緒にテレビを見たり……。
とても優しく接してくれる。
だからこそ、ここに紅さんがいたらって、考えてしまう。
それはワガママだよね。
「紗良、あのね? 無理して笑う必要はないのよ?」
「えっ?」
それは、真赭さんと生成さんと一緒にリビングのソファーでくつろいでいた時だ。
真赭さんは、わたしが用意したアイスティーに口をつけて、そう言った。
彼女はグラスになみなみと入れられているアイスティーをテーブルに置いて、わたしと向き合った。
わたしは真赭さんの手を離れたグラスから視線を上げて、彼女を見ると、真赭さんの表情もわたしと同じように、陰を帯びていた。



