それは紅さんにとって、倉橋さんは敵じゃないっていうこと――。
戦わないって言ってくれることが、とても嬉しかった。
どうして倉橋さんを敵視しないのって紅さんに訊(キ)いたら、「紗良がお世話になった人なんでしょう? だったら、わたしにとっても大切な人だよね」って、そう言ってくれた。
紅さんは本当にわたしのことを想ってくれているんだ。
でも……でもね。
やっぱり倉橋さんと別れた後の、最後の言葉が……『妖狐は人間を騙す』っていう言葉が気になる。
そんな不安に拍車をかけるようにして、紅さんは今夜から、またお仕事に復帰してしまうらしい。
――とはいえ、紅さんがいない間はやっぱり真赭(マスホ)さんと生成(キナリ)さんがいてくれる。
わたしはその好意に甘えて、2人と一緒に夜を過ごすんだけど……。
やっぱり、あんなに一緒にいた紅さんと少し離れてしまうと、不安になってしまう。



