紅さんの首に巻き付けているわたしの片手が、紅さんの手によって包まれた。
そして、わたしの手は、彼の胸へと導かれた。
掌(テノヒラ)から伝わる、あたたかな体温。
トクン、
トクン
紅さんの心臓が震えている……。
じゃあ、じゃあじゃあじゃあ、
わたしだけじゃなかったの?
わたしだけが、紅さんを想っているんじゃ……なかったんだ……。
「ね? 君といると、わたしはいつもこうなる」
…………コツン。
わたしの額と紅さんの額が触れ合う。
どうしよう。
嬉しすぎて、息が……詰まりそう。
目を閉じると、紅さんの息遣いがわたしの頬に当たった。
だけど、それだけじゃない。
わたしの瞼の裏に、真赭(マスホ)さんが見えたんだ……。
彼女はたしか、紅さんが好きだと、そう言った。
……そうだ。
こんな見窄らしいわたしよりも、真赭さんの方がずっと綺麗だ。



