わたしの口の代わりに、今度は、今朝、紅さんが編み込んでくれた灰色をした気味が悪い髪の毛を掬い取り、唇に運ばれる……。
「この、白銀の……まるで故郷である雪国のように艶やかな髪は、わたしを穏やかな気持ちにさせてくれる」
赤茶色の目を細めて微笑む紅さんは、とても綺麗……。
紅さんの姿に――。
綺麗な表情に――。
見惚(ミト)れてしまう。
すると、わたしと紅さんの視線が交わった。
その紅さんの目は、瞳孔が開き切った……なんていうんだろう。
獲物を狙うような、そんな目つき。
だけどそれは恐怖じゃない。
そうじゃなくって、なんて言えばいいんだろう。
何か違うモノ。
まるで……。
まるでその目は、わたしのみぞおちを焼けるように熱くさせるような……。
「黒真珠のような瞳は、そうやってわたしを迷いなく映し出す」



