「紗良……紗良……ああ、どう言えば君は理解してくれるだろう」
「!!」
わたしの耳たぶには、紅さんの柔らかな唇が当たっている。
耳の中へと直接送られてくる息遣いに、わたしの体がまた、熱を持ち、反応してしまう。
「たしかに、紗良の魂も魅力的だが、それは『君』という器がなければ、まったく意味をなさないものだ。
紗良……わたしは君のすべてが欲しい」
「くれないさん?」
「ねぇ、紗良。わたしをそこら辺にいる人外(ジンガイ)と同じように考えないでほしい。
こう見えても、わたしは妖力は十分にあるし、君の魂がなくても、誰にも負けない自信もある」
「でも……それ以上に強い力が欲しいハズ……」
「これ以上の力を欲して何になるだろう?」
――えっ?
紅さんの、思ってもみない返事に視線を上げると、力強い目がわたしを捉(トラ)えていた。



