「光の屈折で蜃気楼をつくり出した。お前がわたしだと思い、踏みつぶしたのは、ただの木の破片だよ……」
光の……屈折?
あ……。
もしかして……。
「紅さんの霊気……。
赤い宝石みたいな霊気が光の屈折をつくり出したの?」
それじゃあ、今まで蜘蛛の装甲に攻撃していた霊気は、この攻撃に繋げるための手段だったっていうこと……?
あらためて周りを見れば、まだ、周囲は光り輝く霊気がまるで火の粉のように散りばめられていた。
「さすがわたしの紗良。理解能力がおそろしく長けているね」
わたしが言った言葉に、紅さんはわたしの姿を捉え、にっこりと微笑んだ。
トクン。
戦闘中だっていうのに、わたしの胸はそれだけでまた、息を吹き返したかのように高鳴る。
わたしの呟(ツブヤ)きに反応したのは、紅さんだけじゃない。
蜘蛛の姿をした霊体もだった。



