……うそ。
うそだ。
――紅さんが……殺される。
死んじゃう!!
わたしが紅さんに突き飛ばされたちょうどその時だ。
巨大な蜘蛛が紅さんへと圧し掛かかり、大きな爆風と一緒に、砂埃(スナボコリ)が公園のすべてを覆った……。
地面に這いつくばっていた体をゆっくりと起こす。
地面から腰を上げて、さっき紅さんがいた場所を見ると、そこには――……。
巨大な蜘蛛しか見えなかった。
紅さんは……?
まさか、踏みつぶされたの?
うそ……。
うそだ。
「ふっ……あははははは!! 人間を庇(カバ)った愚かな人外を屠(ホフ)ってやったわ!!」
蜘蛛の笑い声がわたしの平衡感覚(ヘイコウカンカク)を失わせる。
……そんな……。
いやだ。
「紅さんっ。いやあああああああああっ!!」
わたしの目からは大粒の涙が溢れ出す。
もう、何も目にすることはできなかった。



