それは少し当たったくらいにしか見えなかった。
だけど、紅さんの体はわたしの右横をかすめ、吹っ飛んだ。
大きな爆音のような音と一緒に、紅さんの体は遥か後ろにあった大きな一本の木に激突した。
「……紅さん!!」
もう、限界だった。
わたしのせいで、もう誰かが死ぬなんて、そんなことは耐えられない。
「紅さんっ!!」
わたしは、歯を噛みしめる紅さんに駆け寄って、木に激突した背中を支える。
「紅さんっ、紅さんっ!!」
紅さんの唇の端からは真っ赤な血液がひと筋流れていた。
「紗良……危ないから、わたしから離れ……」
「イヤっ」
……もう、いい。
もういいんだ……。
「紅さん、わたしの魂が欲しいなら、今あげるっ!!」
だからもう、わたしのために戦って傷つく必要なんてないんだよ……。
わたしの魂が欲しいから、だからわたしに近づいて、優しくしてくれたんでしょう?



