だけど、紅さんは冷静だった。
わたしを抱えていない片方の腕を伸ばし、紅色をした炎のような霊気を溜めはじめた。
そして、紅さんの指先に集まった霊力はゴルフボールくらいの大きさに収縮すると、わたしたちを踏みつぶそうと降りてくる蜘蛛へと投げ放つ。
紅さんが放った紅蓮の炎は蜘蛛の側面に的中し、見た目よりも大きな爆音が鳴り響く。
間違いなく蜘蛛の姿をした霊体は滅ぶ――……。
ハズだった……。
だけど、巨大な蜘蛛は無傷で、そのままわたしたちを押しつぶそうと落下してくる。
「くっ……」
紅さんは唇を噛みしめ、ひとつ唸ると、弾丸のような霊気を一発……。
二発……。
そして、続けざまに三発目を落ちてくる蜘蛛の同じ個所に打ち込んだ。
今度こそ滅びるだろう。
わたしはそう思って疑わなかった。
だって、紅さんの攻撃は、爆音からしてとても強力な威力を持っている。



