美狐はベッドの上で愛をささやく


蜘蛛の糸は束になり、周りの木々やブランコに巻きつく。


あっという間にわたしたちを囲んだ。



「これでお前たちは逃げられない……」


下卑た笑い声を放ち、ニヤリと笑う蜘蛛。

体に貼りついている妖しく光った目が、紅さんを捉(トラ)えた。


同時に、紅さんの後ろに張り巡らされた糸が向かっていく。





紅さんはそのことに気づいていない。





紅さんがやられちゃう!!






「紅さんっ、後ろ!!」


わたしの呼びかけに反応した紅さんは、すぐに振り返ってくれた。


だけど、その時にはもう手遅れで、両足首を絡め取られてしまった。


ひと束、蜘蛛の糸が足首を拘束すると、公園じゅうを張り巡る無数の糸も次々と紅さんの体へと向かい、巻きついていく……。


やがて、紅さんの全身は拘束されてしまった。


「っく……」

ギシギシと骨が軋(キシ)むような音と、紅さんが噛みしめた歯の隙間から苦痛の声が聞こえた。


やっ。

イヤ……。