わたしは自分の頭の中に生まれた悲しい思いを打ち消すため、2、3回頭をブンブン振って、紅さんの背中を見つめ続ける。



紅さんが着せてくれた上着の襟元を掴む手に、思わず力が入った。




ふたつの霊気が接触するたびに、ものすごく明るい光がわたしの目の中に飛び込んでくる。


そんな中、わたしはある異変に気がついた。

紅さんの体に纏わりついている炎のような霊気……。


それは、ふんわりと……まるで布のように自由自在に動いているみたいで、うねりを上げてやって来る男の人の茶褐色の霊気ごと包みこもうとしているように見える。


そして、茶褐色の霊気を包んだところから、チリチリと赤い炎が生まれ、茶褐色の霊気が消えてなくなっていく……。


紅さんの炎のような霊気が、男の人の霊気を燃やしはじめたんだ。


そのことに気がついた男の人は後ろへ飛び、紅さんから距離を置いた。