そんな紅さんと向かい合う男の人は霊気を纏(マト)いながら、地面を這(ハ)って紅さんへと突っ込んで来た。

紅さんの周囲から生まれた、キラキラと輝く光はものすごいスピードで、這って来る男の人の身が纏った茶褐色の霊気とぶつかり合う。



ぶつかり合った霊気は目も開けていられないくらいの眩しい光を放つ。


――でも……。




紅さんが気になって目を閉じることはできない。


わたしは固唾(カタズ)をのんで、ふたりの行く末を見つめていた。





霊体に意識を乗っ取られた男の人の霊気は範囲がとても大きい。

直径1メートルはあると思う。

対する紅さんの霊力は男の人に比べて身体を包むくらいの範囲しかない。



このままでは負けるんじゃないかとイヤな予感がわたしの頭に過ぎる。


「……っつ!!」


イヤだ。

紅さんが死んじゃうなんて、そんなのイヤ!!