あんな恐ろしい霊気を放つ相手と紅さんが戦うの?
もし、わたしのせいで紅さんが傷ついたら……。
殺されでもしたら……。
それを考えると怖くて怖くて……不安で胃が潰されそうだ。
前に立ちはだかる紅さんの広い背中を見つめる。
だけど、紅さんからは脅えているような雰囲気はまったく感じなかった。
背筋を伸ばし、迎撃態勢に入っているみたい。
わたしからは背中しか見えないけれど、なんだか……恐怖とは違うような気がする。
……なんだか、楽しそう?
それにそれに、あれは何だろう?
迎撃態勢に入った紅さんの周囲……。
そこには紅色の炎のようにチリチリと舞い始めている。
炎のようなそれは、もしかすると、紅さんの霊気なのかな……。
その炎は、思わず見惚(ミト)れてしまうくらい、真紅色のルビーやオブシディアンの宝石みたいにキラキラと輝いていて、とても綺麗。



