ある日、眠ることも食べることも拒絶したわたしを見かねた父は、かねてからの知り合いだった、霊媒師の倉橋 千歳(クラハシ チトセ)さんに相談した。



倉橋さんはわたしの顔を見ると深くうなずき、そっと言葉をはじいた。


彼が言うには、なんでもわたしの魂はとても綺麗で力が強固なのだそうだ。


あの世のモノはこの世界に実体化するため、わたしの魂を欲しがるのだとも……。


だけど、わたしの魂は汚れていないから、霊体たちはわたしの魂を奪うことが出来ないらしい。


だから、わたしに恐怖を植え付け、魂を汚れさせるのだと言う。



どうやらわたしはそういう運命の星に生まれてきたらしい。




事実を知ったところで、どうすることもできないわたしは途方に暮れた。

だけど霊媒師のところへ行ったその日から、あれほど怖かった毎日は、まるで何事もなかったかのようにすっかり消えた……。



きっと霊媒師の倉橋さんが何か対処をしてくれたんだと、そう思った。