走って……。
走って……。
乱れる息も無視して、わたしはひたすら走る。
……だけど、もう限界。
わたしの体はとうとう根をあげた。
足は絡み合い、コケそうになって、やっと止まる。
走りすぎた自分の乱れた息とバクバク煩い心臓のだけが妙に大きく聞こえた。
ココはわたしが育った山奥とは違う場所。
だけど、紅さんと離れるなら、結局どこだって変わらない。
どうせ、わたしは苦しんで生きていくしかないんだ。
そこへ来て初めて周りを見渡せば、裏路地みたいな場所だった。
人気は無く、小さなもの悲しいブランコひとつだけがある公園の前――。
夜道を照らす街灯はチカチカと消えたりついたりを繰り返している。
とても気味が悪いところ。
風ひとつない夏の夜の、ジットリとした空気がまた、気味が悪いという風景をつくり出している。



