わたしは両開きの重い扉の前で、けっして紅さんには届かないお礼をそっと呟き、静かに扉を開いた。
映画館を抜けてビルの外へ出ると、ひんやりとした空気から解放されて、わたしの体が生ぬるい空気に包まれる。
体が重く感じるのは、きっとこの生ぬるい空気だけのせいじゃない。
わたしの体は、紅さんと離れたくないと、そう言っているんだ。
それでも重い足を引きずりながら、わたしは走った。
外は、もうすっかり暗くなっていて、歩く人たちは足早に家路へと向かっていく……。
そんなだから、わたしは行き来する人とぶつかって、そのたびに謝りながら、重たい足を進めた。
……早く。
早くココから離れなきゃ。
少しでも遠くに行かなきゃ!!
きっと、優しい紅さんはわたしがいなくなったことを知って探し回ってくれるから……。
心臓が破裂しそうなくらい悲鳴をあげる。
だけど、足を止めちゃダメ。



