(「場所はわかる?」)
それなのに、紅さんはとても優しい。
どこまでもわたしを気遣ってくれる。
わたしは大きくうなずくと、席を立つ。
もう会えない。
そう思うと、大声で泣きたくなる。
だけど、泣いちゃいけない。
必死に唇を引き結ぶ。
きっと振り向けば、紅さんの背中がある。
今なら引き返すことは出来る。
そうしたら、紅さんはまた微笑んで、わたしを優しく包んでくれる。
でも……ダメなんだ。
わたしはもう……自分の気持ちを知ってしまった。
紅さんは素敵な人だ。
きっと、ものすごく綺麗な恋人さんができるだろう。
もしかすると、紅さんの隣にいるのは真赭さんかもしれない。
わたしは仲良く過ごすふたりの邪魔をしてはいけないんだ……。
(「さようなら。
今まで……ありがとうございました」)



