そして、ひとつの恐怖に気がつけば、もっと大きな恐怖がやって来た。
夜になると、霊体たちは恐ろしい姿でわたしの目の前にやって来るようになったんだ……。
……わたしを、恐怖へと引きずりおろすために……。
案の定、わたしは夜が来るたび、怯えた。
霊体たちがあらわれる夜が怖くなった。
だったら眠ってしまえばいい。
眠りさえすれば、『彼ら』を見ることはなくなるし、怖くもない。
そう、考えた時もあった。
だけど、わたしが眠ってしまえば、また奏美さんの時みたいに、今度はわたしを拾ってくれたお父さんを襲うかもしれない……。
そう思うと、夜も眠れなくなった。
そして眠ることを拒絶したわたしの体は、みるみるうちに衰弱していった。
ついには、食べることさえもできなくなり、太陽が昇っている間も、霊体たちはわたしを襲うようになった。
傍に誰がいようとおかまいなしに……。



