美狐はベッドの上で愛をささやく


明るかった館内は少しずつ照明が落とされ、暗くなっていく……。



そして、大きなスクリーンで映像が流れはじめた。



……正直、映画のスクリーンは見ていなかった。


だって、だってね……。


紅さんの顔をもっと見ていたいって思ったんだ。


だから、こっそり綺麗な横顔を見つめていた。


そうしたら……バッチリ目が合ってしまった。


ずっと紅さんの横顔を見ていたって知られた。


わたしは俯(ウツム)いたら、紅さんの手が、椅子の肘置きにあったわたしの右手を包んだ。


撫でられれば、手の甲がぼんわりと熱を持っていく……。


その熱はわたしの体を簡単に包みこんでしまう。



……ダメ。

もう、ムリだ。


もう、一緒にいられない。

一緒にいればいる分だけ、紅さんと離れがたくなってしまう。


(「紅さん、わたし、お手洗い行ってきますっ」)


これは嘘。

紅さんから離れるための口実。