美狐はベッドの上で愛をささやく


映画館って、やっぱりとても広い。


館内にある部屋は何ホールも別れていて、上映されるものがそれぞれ違うんだって。


今日、紅さんと一緒に観る映画は純愛ものらしい。

紅さんってロマンチストなんだ。


最後の最後に新発見しちゃった。


映画館はいったい、畳、何畳分なんだろう。

とにかくとても大きな部屋。

そこに小さな番号が振ってあるたくさんの椅子が並んでいた。


映画のチケットに書いてある番号の椅子はちょうど真ん中あたりで見やすそう。

前にあるとても大きなスクリーンは大迫力だ。



それで頭に過ったのは、生成(キナリ)さんや真赭(マスホ)さん、みんなで映画館に来る姿――。

楽しそうで、思わず笑みがこぼれてしまった。


「紗良ちゃん? 何を考えてるの?」



「あ、ごめんなさい。

生成さんや真赭さんと一緒にこういうところに来ても、きっと楽しいだろうなって……」