鏡に映ったわたしは……浴衣姿じゃない。


白色のワンピース姿のわたしだった。


ワンピースは、胸元にあるボタンと襟。

それから袖の部分は全部レースになっていて、ものすごく可愛い。


それに、後ろにある紐はリボンになっている。


リボンは可愛い縦結び。


その結び方も、なんだかとても可愛い。




「さっ、いくわよ!!」



グイッ。

「あ、へ?」


鏡の前で固まっているわたし。


真赭さんは、またわたしの手を引いて、部屋を出ると階段を降りて、リビングに戻った。


「紅兄(クレニイ)、どう?」


真赭さんは、紅さんが座っているソファーの前にわたしを引っ張る。


「さすが、真赭。見立ても素晴らしいね。美しい、とてもよく似合っているよ紗良ちゃん……」


『美しい』のはわたしじゃない。

ワンピースの方。

だから、そんなことないと思うのに、褒められるとムズムズする……。