紅さんは、首を傾げるわたしにひとつ微笑むと、「開けてみて」と促す。
袋から、中のモノをゆっくり取り出すと、そこからは……。
洋服が2、3着出てきた。
紺色と桃色、それから白色の洋服だ。
前ボタンの周りにはレースがついていて、たたんでいる状態からでも、ものすごく可愛い洋服なんだっていうことがわかる。
「同じような身長だし、女の子同士だからね、真赭にお願いしたんだ」
紅さんはそう言うと、試着してほしいと告げてくる。
嬉しい。
服なんて、お父さんが元気だった頃以来だったから、とても嬉しい……。
……でも、こんなにしてもらうのはイケないこと――……。
だからわたしは、ほころびかけた唇を引き結び、小さく首を振った。
「紗良ちゃん?」
……嬉しい。
こんなにしてもらって嬉しい。
でも……わたしには、これを着る資格はない。



