悲しい気持ちになってしまうと、膝の上に置いている両手は拳をつくってしまう。
真赭さんの白い浴衣をギュッと握りしめてしまった。
皺(シワ)になるからいけないと思うのに、手が……指が……言うことを聞いてくれない。
わたしの視線も、気がつけば膝に向いている……。
その時だった。
わたしの頬に、あたたかい空気が流れ込んできたかと思えば、その空気は耳の中に流れ込んだ。
そして、そっと一緒に入ってくる穏やかな声……。
「だけどね紗良ちゃん、髪の毛は、わたしに洗わせてね」
「……っ!!」
耳孔(ジコウ)に向かって流れ込んでくる吐息と一緒に囁(ササヤ)かれた声で、わたしの体が震えてしまった。
さっきとはまた違った意味で、両手に力が入る。
「紅さんっ!!」
いくら紅さんが世話好きだといっても、これは、なんというか……。
生成さんと真赭さんがいる前で話す内容じゃない気がする。



