それは自分とは無縁だと思っていた言葉――。
だから、とても恥ずかしくて、やっぱりふたつの視線から逃れるため、わたしの顔は俯(ウツム)いた。
「ありがとう、この子は紗良(サラ)って言うんだ。今日からよろしくね」
紅さんはわたしの両肩に手を置いて、男の人と、とても可愛い女の子の前にわたしを導いた。
だけど、ずっと下を向いていることも許されなかった。
――えっ?
今日からよろしくって?
どういうこと?
わたしは紅さんの言葉に顔を上げと、男の人が肩にかけている大きな旅行用の青色のバッグ。
それが目に入った。
意味が分からなくって、青いカバンから紅さんの顔へと移すと、深くうなずかれた。
「ここではなんだから、ふたりとも上がって。
今ね、紗良ちゃんと一緒にホットケーキを焼いていたところなんだよ」
紅さんはどこか誇らしげにそう言うと、男の人と女の子をリビングへと案内する。



