すると、わたしの返事を待たなくても、紅さんはすぐに冷蔵庫からリンゴを取り出し、ミキサーを用意する。
わたしが何も言わなくても、こうしてリンゴジュースの用意をしてくれるのは、もう、ほとんどそれが日課になっているから……。
わたしは、甘くて、それでいて少し酸味がある紅さんが作ってくれるリンゴジュースにすっかりハマってしまった。
「ありがとうございます」
わたしはお礼を言うと、わたしの身長と同じくらいの高さの棚から食パンを取り出した。
紅さんがわたしのお気に入りのジュースを作ってくれるのが日課なら、わたしは2人分の食パンをトースターに入れて焼くのが日課だ。
「紗良ちゃん、わたしは今夜から仕事に行こうと思う」
紅さんは、手にしていたコーヒーカップに口をつけ、それからリビングにある木目のテーブルにコトリと置くと、そう言った。
目の前には、サラダとゆで卵が盛られたお皿……それに、キツネ色をした焼きたての食パンが乗っている。



