美狐はベッドの上で愛をささやく


顔が熱いし、恥ずかしいけれど、今は味に集中しなきゃ。


わたしはゆっくりと喉に流れた水の味をたしかめる。




……甘い味がする。



どんな味かをたしかめるわたしの言葉を、無言でジッと待つ紅さん。




見つめられるのはやっぱり恥ずかしい。


だけど、そう思うのはわたしだけで、紅さんは、ただ真摯(シンシ)にわたしの体のことを気にしてくれているだけなんだ。



そう思うと、ちょっぴり悲しくなるのはどうしてだろう。


「……美味しいです。とても飲みやすい。わたし、甘い味好きで……」



たかがわたしなんかの顔色を窺う紅さんの優しさに嬉しくて、微笑むと、紅さんはコクリとうなずいた。


「良かった。レモン汁とリンゴをミキサーにかけてみたんだ」


とても嬉しそうに微笑んでくれるから、わたしも嬉しくなって、恥ずかしいのも忘れて紅さんに笑い返した。


「あの、それで、さっきの、『わたしの腕が試される』っていうのは何ですか?」