濁ったこの水はいったい何だろう?
紅さんの腕が試される?
紅さんの言っている意味がよくわからなくて首を傾げると、「コレ、きっと美味しいよ」と告げてきた。
掲げられたグラスを受け取り、匂いを嗅げば……。
甘酸っぱい匂いがした。
この匂いは……リンゴ……かな?
「リンゴジュース?」
首を傾げて尋ねてみると、紅さんはゆっくりうなずいた。
そして、わたしの手からまたグラスを受け取った紅さんは、わたしの背中をそっと引き寄せ、グラスに口をつけた。
わたしが吐き出してしまわないように……。
自分で飲むと、またむせて飲めなくなるから……。
また、そうやって口移しで飲ませてくれるんだ。
紅さんの優しい心遣いに胸の奥がジンってする。
目頭が熱くなって、また涙目になってしまう。
ほんと、わたしって情緒不安定で面倒くさい奴……。



