美狐はベッドの上で愛をささやく


やっぱり紅さんは、わたしが食べられないことを自分のせいだと思っているようだ。




だけど、違う。


食べることが出来ないのはわたしが汚いからであって、紅さんのせいじゃない。




わたしはそのことを告げようと口を開けると――……。



「紗良ちゃん、少し待っていて。いい方法を思いついたよ」



紅さんはウインクひとつして、ベッドから抜け出した。






紅さんが部屋から出て行くと、部屋の中はシン、と静まり返ってしまう。


そうすると、何とも言えない孤独感が、またわたしを襲ってくるんだ……。



わたしは自分自身に、今はひとりじゃないと言い聞かせて手を伸ばす。


その先は、さっきまで紅さんがいたところ。



シーツに触れると、まだ紅さんのひと肌にあたためられたぬくもりを感じられる。



顔をうずめて、そっと息を吸い込めば、薔薇の香りがわたしの鼻孔をくすぐった。




わたし、ヘンだ……。