その度にヘンな声を出してしまう。
紅さんの背中にまわした腕に力が入る。
とてもあたたかいのに、全然落ち着かない。
辛くないのに、胸が締めつけられて苦しい。
だけど……それはとても心地いい。
まるで……わたしをすべて、受け止めてくれているような錯覚に陥(オチイ)ってしまうから……。
「何か飲もうか……」
いったいどれくらい、そうやっていただろう。
今までわたしを抱きしめてくれていた紅さんが動いた。
視線がわたしの頭のてっぺんにあるつむじのところにあるのを感じて、わたしも見上げれば、白い目覚まし時計があった。
時計の針は10時を示している。
昨日、紅さんと出逢ってから一日が過ぎたんだ……。
そう思っていると、お腹がぎゅるるって、また鳴った。
……恥ずかしい。



