思わず喉を鳴らしてしまうけれど、わたしには飲む資格もない。
……水、飲めないんだ。
胸が苦しい。
痛いよ……。
視界が大きく、ぐにゃりと歪む……その時だった。
背中にあった腕がゆっくり上がってくると、わたしの顎に触れた。
意味がわからなくって動かないでいると、紅さんの手は、紅さんと向き合うよう指示してくる。
そのまま紅さんの顔を見上げるわたし……。
そうすると……紅さんの顔が少しずつ近づいてくるんだ。
「…………ふっ」
水音を立て、わたしの口の中に待ち望んでいた水が入ってくる。
口角が上に向いているから、さっきみたいに水を吐き出せなくって、喉の奥まで水が通ると、ゴクリと飲み込んだ。
唇にはあたたかい感触を残し、紅さんが離れていく……。
「もっと欲しい?」



