むせるわたしを宥めてくれる紅さんの優しさに……また違う涙が流れはじめる。
「くれな……げほっ」
ありがとうって言いたいのに、言えない苦しさ。
わたしは愚かな人間なんだって実感させられる。
「いいよ、あまり気にしないで、大丈夫、大丈夫」
「ふぇ……げほっつ、げほ!!」
何度も何度もそう言って、優しい言葉をかけてくれる紅さん。
ついに、わたしの涙は止まらなくなった。
涙はポロポロと、絶えず流れはじめる。
紅さんは撫でていたわたしの背中にある腕に力を入れると、抱きしめてくれる。
あたたかな体温がわたしを包むと、情けない気持ちが少しずつ消えていく……。
やがて咳も無くなると、紅さんがわたしの背中を撫でている腕とは反対側の手が、テーブルの上にあった水が入ったグラスへと伸びた。
コクン。
紅さんが口に水を含む音がした。
すごく美味しそう。
わたしも水が飲みたい。



