「うん? 君を見殺しにする筈(ハズ)がないだろう? 君はわたしといれば安全だ。
これから共に暮らそうね」
彼は綺麗な赤茶色の目を閉じて、微笑んだ。
あまりの優しい笑顔に、わたしはついつい何も言えなくなる。
しばらく黙っていると、紺色の暖簾(ノレン)をくぐってリビングに辿りついた。
10帖くらいある広いリビングも寝室と同じクリーム色で、木目の4人がけ用テーブルと薄い桃色のソファーがある。
その奥にはキッチンカウンターが見えていた。
ストンと柔らかい感触のソファーに下ろさたかと思うと、紅さんはわたしの傍からいなくなった。
……かと思えば、水が入ったグラスをふたつ持ってきてわたしの隣に座る。
「はい、ゆっくり飲むといいよ」
紅さんはそう言うと、わたしにストローが入った方のグラスを手渡してくれた。
わたしはとうなずくと、口をつけてグラスの中の水を飲む。



