「ふっ、う……うう」

 急に涙が溢れ出た。次々と零れる涙を、カードを持ったままの手で拭う。むせ返るように溢れる感情をもはや止めることは出来なかった。

 私だけに向けられた優しさも、喜ばせようとしてくれたことも、幸せを願ってくれたことも全部そうなのだ。
 とても愛されていたね──父に肩を抱かれ、耐え切れずに私は声を上げて泣いた。

「これ、小学生の時に約束したの。真己が幸福のクローバー潰しちゃったからって。真己のせいじゃないのに、先に見つけたこと悪いと思って、それで……」

 後は何を言っているのか自分でもわからなかった。子供のように泣きじゃくる私の背中を、父は何も言わず優しく撫でてくれた。

 私は真己に愛されていた。こんなにも、愛されていたんだ。
 気が付かなくてごめんなさい。もっと愛せば良かった。もっと早くに気付けばよかった。
 今じゃ遅い。今ではもう、真己はいないのだから──