言葉が胸を包み込んで、あんなに騒いでいた鼓動の音が聴こえなくなった。
ぴたりと止まってしまったみたいに。
静まり返った私の耳に届いてくるのは、今泉君の胸の鼓動。思ったよりも速くて……私と変わらないんじゃないか。
私の頭に触れていた今泉君の頭が離れてく。
ようやく浮かんだ解放という言葉を否定するように、今泉君の腕が私の肩に回る。
「芳田さんは? 一番好きなもの、何?」
今泉君の声が意外と近くから聴こえてきたと思ったら、私の顔を覗き込んでいた。
目が合うと今泉君の笑顔。暗がりの中だけど、照れ臭そうに細めた目元がはっきりと見て取れる。僅かに色っぽさが感じられるのは暗がりのせいか、それとも浴衣のせいかもしれない。
こんなにじっと見られてたら答えるに答えられない。
でも、今泉君は私の答えを待ってる。
「私は……」
言いかけた言葉を遮って、けたたましい音が耳に飛び込んだ。視界を覆い尽くす眩い光と鮮やかな色。
呼ばれたように今泉君が振り向いた。
花火が夜空を染め上げる。

