「ありがと、今何時かな?」
尋ねてから、すぐに聞くんじゃなかったと思った。時すでに遅く、今泉君は繋がったままの手を引き上げて腕時計を確認する。
「七時二十分、もうすぐだよ」
にこり笑って、今泉君は港側へと目を向けた。私の手を固く握り締めて、ぐいと胸元に引き寄せて。
いつもの今泉君らしくない笑顔に戸惑いつつも自然と体が傾いて、今泉君に寄り掛かってしまう。
体重を掛けたら悪いし、重いと思われたりしたら嫌だし。なんとか足を踏ん張って耐えようと、態勢を立て直そうとするのに無理。
今泉君は反対側の手まで出してきて、私の手を包み込んだ。ぎゅうっと抱えられた手が熱を帯びて、体にまで伝わってくる。
熱くなった体はもう、完全に今泉君にもたれ掛かってしまってる。
「ごめん……、今泉君、重いでしょ」
恥ずかしさを堪えて尋ねてみた。
前を向いたまま、港の方の景色を見たまま。
今泉君の顔なんて、怖くて見られない。
胸の鼓動が悲鳴に変わってく。
今日の今泉君、ちょっと変かも。

