明日も晴れ


少しずつ、少しずつでいいから今泉君のことを知りたい。一度にたくさんのことを知ってしまわなくてもいい。



だって、楽しみはゆっくりと小出しに味わいたいから。



すごく勉強ができて、運動もそこそこできる今泉君。トロンボーンを吹くことができて歌も上手くて、いつも段取りがよくて。



いつもポーカーフェース、滅多なことじゃ顔色を変えたりしない。飄々として掴み所のない今泉君の素顔を少しずつさらけ出してほしい。



今泉君の左側の頬はまだ膨らんでいて、もごもごと動いてる。あそこに入ってるのはシイタケの天ぷら。
今泉君がよく噛んで食べるのは、もう知ってる。



ごくんと喉を通り過ぎていくのが見て取れた。空っぽになって、ゆっくりと口が開いてく。



「芳田さんは他に嫌いなもの、何かあるの?」



御膳を見渡して目にとまったのは、まだ手をつけていない小鉢。手をつけていない、ということはもちろん苦手だから。



「うん……あるよ、この中ではひじきも苦手」



と言った途端に、今泉君の口が僅かに尖った。目を見開いて、少し驚いたような顔をして。
いかにも何か言いたそう。