「どうしたの?」
もしかして、トイレ?
と、付け加えてしまいそうになったけど言わなくてよかった。
「芳田さんはカボチャ好き?」
今泉君が箸で指し示したのは、御膳に並んだ皿のうち天ぷらの盛りつけられた皿。海老とシシトウとシイタケの天ぷらは既に無くなっていて、残っているのは海苔とカボチャの天ぷらのふたつだけ。
「好きだけど?」
「じゃあ、これあげるよ」
と言って、今泉君はカボチャの天ぷらを箸で摘まんで私の皿へ移す。弱気な表情から笑みを浮かべながら。
なるほど、そういうこと。
今泉君にも苦手なものがあるんだ。
「うん、ありがとう。私も……」
私もひとつ残った天ぷらを今泉君へ。残していたのはシイタケの天ぷら。シイタケはどうしても苦手だから、残すつもりだった。
「ありがとう、芳田さんはシイタケが嫌い?」
「嫌い、匂いがダメ」
「シイタケに匂いなんてするかなあ……? 干しシイタケもダメ?」
「うん、何があってもダメ」
「そうだよな、ダメなものは何をしてもダメだよなあ……」
今泉君がくすっと笑って、シイタケの天ぷらを口へ放り込んだ。

