二階のグルメモールは思った以上に混んでいる。通路を挟んだ両側に、十近く並んだ店舗の前にはそれぞれに人の列。
私たちと同じように浴衣を着たカップルがちらほら、みんな同じことを考えているらしい。
和食屋さんの店先の椅子に座ろうとしたら、「ちょっと待ってて」と今泉君は言い残して、店の入り口へと向かってく。
ぴんと背筋の伸びた後ろ姿。
ほっそりとして浴衣が似合ってる。
今こそ、思う存分に今泉君を眺めよう。
普段は並んで歩くことが多いから、ほとんど横顔しか見ることができない。しかも、じっと見ることなんてできないから新鮮。
こうして見ると、結構肩幅があったんだなあ……
店の入り口に置かれた式台に似た台の上に据え付けられた紙に、今泉君がペンを走らせる。横顔と立ち姿から目が離せない。
いつも用意周到で抜け目ないと思っていた今泉君も、最初からこの店に来ようとは思っていなかったらしい。
ペンを置いて戻ってくる今泉君にドキドキしながらも、安心感が満ちていく。

