そうだ、いいことを思いついた。
「スタバとかで、パンとかサンドイッチとかハンバーガーにする?」
「パンかあ……、お腹空くだろ? 遅くなるし」
今泉君は冴えない返事。
せっかくいいネタを思いついたのに、却下されてしまうとちょっと傷つく。
だったら何がいいの?
聞き返したいけど、ここは我慢すべし。
もう考えるのを止めようかと思い始めたら、
「二階の和食屋さんにしよう、あそこなら雑穀米とかあるから」
と言って、今泉君が上を指示した。
なんとなく、今泉君がわかった気がする。私の父もそうだけど、夕食はパンや麺よりもきっちりとご飯を食べたい人なんだと思う。
晩御飯を一緒に食べるのは初めてだから、今まで気付かなかったけど。気づいてしまったら面白いというか、かわいいとさえ思えてくる。
「うん、そこでいいよ」
「じゃあ行こうか」
今泉君が笑うから、私も笑った。
くるっと方向転換して、今泉君はエスカレーターを目指す。
私の腰に、ふわりと手が触れた。
人ごみに圧倒される私を支えてくれるような力強さ。

