五百円玉を握って、自分の部屋へ。
真夏の二階はサウナ状態で、階段を上がるだけで汗が噴き出してくる。



部屋に入ってすぐ窓を開けて、扇風機のスイッチを押す。羽根の前に仁王立ちして風を遮りながら、制服のスカートを脱いだ。



汗ふきシートで体を拭いながら、何を着ようかと考える。昨日着た服は……、と記憶を辿ったり。



あっという間に着替え完了。
どちらかというと地味子だから、着替えるのに時間は掛からない。



化粧はしないし、ばっさばさのまつ毛も付けない。やたら露出度の高い服も、フリフリした服も苦手。専ら飾り気の少ないカットソーと短パンが落ち着く。



それに、お洒落するのは恥ずかしい。
いかにも気合いを入れたような、楽しみにしてたような……などと、今泉君に悟られるのは絶対に嫌。



悟られない程度に髪を整える。
肩甲骨の下まで伸びた髪の毛先を整えて、顔周りの髪を簡単に編み込んでサイドでひと纏めに。不器用だから、簡単に手早く済ませることを考える。



それに、今泉君を待たせてる。